たより8 風土
食育の祖と呼ばれる明治時代の医師、石塚左玄は「風土」や「入郷従郷」という言葉を使って食養法を説明しています。
風土が違えば、その土地で育つ作物も違うし、郷に入りては郷に従い、俗に入りては俗に従う食養法を実行すべきだということです。
日本の中でさえ、北海道から九州までそれぞれの土地に適した作物があり、味付けや調理法も異なり、伝統食、郷土料理というものがあります。
旅行先でその土地の食べ物を食べるのは一つの楽しみですね。
しかし、日常的には生まれ育った土地のものを食べるのが一番体になじむのではないでしょうか。
現在の日本では世界中の食材や料理、カタカナの料理があふれています。
これが一つの文化だという見方もありますが、身体はその土地でできる食べ物の影響を受けて形成されますので、異なった土地の物を過食すれば必ず不具合が生じ健康を害す原因になります。
和辻哲郎著書「風土」より
「食物の生産に最も関係の深いのは風土である。人間は獣肉と魚肉とのいずれを欲するかに従って牧畜か漁業かのいずれかを選んだというわけではない。風土的に牧畜か漁業かが決定せられているゆえに、獣肉か魚肉かが欲せられるに至ったのである。同様に菜食か肉食かを決定したものもまた菜食主義者に見られるようなイデオロギーではなくして風土である。」
瑞穂の国と呼ばれるように、日本は稲作に適した風土であり、お米を主食にしています。
和食の良さを考えるとともに、日本の中でも、自分が住んでいる地域からできるだけ近いところでとれる食べ物を日々の食卓に取り入れてみましょう。
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