たより6 咀嚼のすすめ②
食べものを噛むとたくさん唾液が出てきますが、唾液にはたくさんの効果があります。
唾液には外分泌と内分泌があります。
外分泌…毛細血管から栄養をもらって細胞外に出てきたもの
内分泌…唾液の一部が毛細血管に戻ってホルモンを運搬するもの(EGF、NGF)
EGFとNGFはそれぞれ次のような働きをします。
EGF(上皮成長因子)…皮膚、歯、口腔粘膜、胃腸、血管などの細胞の増殖
NGF(神経成長因子)…神経節や神経線維の発育促進
唾液の主な効果
唾液の99%以上は水分であり、口腔内を洗浄、潤いを与え飲み込みやすくします。
そして、水分以外の成分にも下記のようにたくさんの効果があります。
1.飲み込みやすくする
唾液に含まれるムチンという成分は食物を飲み込みやすいもの(食塊)にしたり、口腔内を滑らかにして嚥下しやすくします。
2.消化しやすくする
アミラーゼという酵素がデンプンを麦芽糖まで分解します。
ごはんをよく噛んでいるとだんだん甘くなってきます。これはアミラーゼがデンプンを分解し麦芽糖にしているからです。
3.虫歯予防
唾液には虫歯や歯周病の原因になる細菌を阻害する免疫物質が含まれています。
また、食べ物を食べ、口の中が酸性に傾くと、歯の表面が溶けかかります(脱灰)が、唾液は、口腔内を洗浄して中性に戻す性質があり、溶けかかった歯の表面が元に戻ります(再石灰化)。
よく噛むと唾液がたくさん出ますので、虫歯になりにくくなるということです。
さらに、スタテリンという成分はカルシウムと結合して歯を強くします。
4.がん予防
様々な病気の原因になる活性酸素、唾液に含まれるカタラーゼ、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、ペルオキシターゼなどの酵素が毒消しをしてくれます。
5.口臭予防
唾液は口腔内を洗浄し、抗菌の成分も含んでいるので口臭予防になります。
6.美味しさを感知する
唾液に含まれるガスチンは亜鉛と結合して味覚の働きを敏感にします。
食べものと唾液が混ざることで味を感知することができるので、唾液が少なくなると味を感じにくくなります。
7.細菌から守る
細菌は虫歯や歯周病を起こすだけでなく、全身疾患の原因にもなります。
唾液に含まれるラクトフェリンは鉄分と結合して作用し、細菌の育成を抑制します。
その他、免疫グロブリンA、ムチン、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ヒスタチンなどが細菌から守っています。
8.口の中の乾燥を防ぐ
唾液に含まれるアルブミンは口の中をなめらかにして乾燥を防いでいます。
9.老化防止
唾液に含まれるパロチンというホルモンは上皮細胞の新陳代謝に関わっています。
上皮細胞とは皮膚だけでなく体の中の粘膜や血管なども含まれます。
細胞の新陳代謝に関わっている若返りのホルモンです。
唾液は1日に1~1.5ℓ分泌されています。
噛むこと自体、体にとっていい作用がありますが、唾液には驚くほどたくさんのいい成分が含まれています。
食事の量、バランスだけでなく、よく噛んで食べることは体にとって有益なことです。
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