たより35 海藻
海藻は和食に欠かせない食材です。
日本の周辺には1,500種類もの海藻が生えているそうで、
昭和10年頃までは50種類ほど食用していました。
現在は、コンブ、ワカメ、ノリ、ヒジキ、アラメ、モズクなどがよく食されていますが、
地域差があるとはいえ、食べる習慣が減ってきているようです。
海藻は色により3つに分類されます。
①褐藻類…茶褐色をしているもの(コンブ、ワカメ、ヒジキ、アラメ、モズクなど)
②紅藻類…濃紅色をしているもの(ノリ、テングサ、フノリなど)
③緑藻類…緑色をしているもの(アオサ、アオノリなど)
また、形状によっても名称が分けられています。
①〇〇モ…大きなもの
②〇〇メ…扁平で長いもの
③〇〇ノリ…小さいもの
食用以外にも建築糊、洗濯糊、洗髪、肥料、ヨードの原料などといった使い方もあります。
<コンブ>
コンブはヒロメと呼ばれていました。
主産地は北海道で、マコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブ(ヒダカコン)、ナガコンブなどがあります。
昆布にはグルタミン酸という物質があります。生きている昆布にとって必要な物質ですが、漁獲されて生命を終えると水に溶けだしてきます。これが昆布出汁のうまみになります。
出汁としての利用の他、昆布巻き、佃煮、漬物、煮物などがあります。
また、とろろ昆布、すき昆布、昆布茶などさまざまな形状の商品があるのも特徴です。
薬効:腫れ物、むくみ、脚気、痰、肥満、高血圧、糖尿病、動脈硬化など
<ワカメ>
ワカメは乾燥わかめとして現代人にとってなじみの海藻ではないでしょうか。
2~3月が採取の最盛期で、よく筍と炊き合わせをしますが、
日常的には味噌汁の具、酢の物、サラダなどでよく利用します。
薬効:腫れ物、むくみ、脚気、痰、精神安定など
<ヒジキ>
江戸時代には救荒食としてヒジキをたくさん入れたヒジキ飯が炊かれていたようですが、
現代はカルシウムや鉄を多く含む食材として知られています。
3~5月頃に採取し、茎の部分を長ヒジキ、葉の部分を芽ヒジキと呼びます。
大豆と一緒に煮たり、総菜としておなじみですね。
薬効:腫れ物、脚気、貧血など
<アラメ> アラメの主産地は三重県伊勢志摩で7~9月に採取されます。
煮物などに使われる他ヨードの原料にもなります。
昔から伊勢神宮への供え物として献上されてきた海藻で、
また、八のつく日にアラメを食べると末広がりということで縁起がいいとも言われています。
<モズク>
モズクは乾燥保存ができないため広く流通している海藻ではありませんが、モズク酢、味噌汁の具として利用されます。
薬効:腫れ物、むくみ、便秘、精神安定など
<ノリ>
ノリは近年養殖が行われるようになるまでは貴重品でした。
そのためか、巻き寿司として行事食の中で使われます。
ノリの病気などのために収穫後酸性の液に浸す酸処理が施されていることがありますが、無酸処理と表示された商品もあります。
薬効:腫れ物、むくみ、脚気、心臓の痛み、のどの渇き、咳、精神安定など
<テングサ>
古代には心太(こころぶと)と呼ばれていたもので、ところてんの原料です。
夏に黒蜜や酢などをかけて食べます。
また、ところてんを凍結乾燥した寒天は使いやすい商品で、食物繊維が多いため便通に良く、関節を滑らかにする働きなどもあり、健康のために利用したい食材です。
薬効:暑気あたり、解熱、便秘、など
<フノリ>
フノリは乾燥したものが売られており、水戻しするととろみが出て、味噌汁などに使うほか、食用以外の糊としても利用します。
<アオサ> アオサは浅瀬の岩場に生え、3月頃に採取されます。
主産地は三重県伊勢志摩 味噌汁、吸い物、てんぷらなどに使われ、とても色鮮やかな緑色がきれいです。
薬効:腫れ物、むくみ、のどの渇き、口内炎、糖尿病など
<アオノリ>
海水と淡水が混じりあう汽水域に自生していて、四万十川のスジアオノリが有名です。
粉末として様々な料理のいろどりとして使いやすい海藻です。
薬効:腫れ物、痔、虫下し、下痢、嘔吐、胸痛、腹痛、胆石、心臓病、眼病など
食養料理例
昆布・たこ・小豆の煎じ汁(心臓病)
昆布・椎茸の煮物(高血圧)
昆布・小豆・南瓜の煮物(糖尿病)
ひじき・蓮根の煮物(呼吸器)
ところてん(高血圧)
ふのり煎じ汁(歯痛、化膿止め)
ふのりと大根(胆石)
など
全体的に海藻は、腫瘍やしこりをとる作用、痰をとる作用、むくみをとる作用、熱をとる作用があり、食物繊維が便通を整え、生活習慣病の改善や予防に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
1日に1回は海藻をとりましょう。
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