たより28 色について~青系統の色~

たより27では色は光というお話をしましたが、今回から中国古代哲学の一つである五行論やマクロビオティックの考えを基に、日常的に色をどのように取り入れていけばいいのかについて書いていきます。


まずは、五行論について簡単ですが、説明をしておきます。


<五行論についての説明>

中国古代哲学に五行論というものがあります。

自然界に存在するものを木・火・土・金・水という五つの元素に分類するという考え方です。

月(陰)と日(陽)を足すと、1週間の曜日としてなじみがありますね。


【相生関係】相手を生じさせる関係

順序:木→火→土→金→水→木

木から火を生じる、火が燃えると灰になり土になる、土の中から金属が生じる、金属から水が生じる、水は木を成長させるという関係です。


【相克関係】相手を制御する関係

順序:木→土→水→火→金→木(相生関係の一つ飛ばしです。)

木は土の栄養を吸収する、土は水をせき止める、水は火を消す、火は金属を溶かす、金属は木を切るという関係です。


五行論では、この五つの元素の特徴と関連づけて、様々なものを五つに分類しています。

色では、青、赤、黄、白、黒の五つです。

木は青、火は赤、土は黄、金は白、水は黒が配当されています。

季節とつなげると、青い春(青春)、朱い夏(朱夏)、白い秋(白秋)、黒い冬(玄冬)になります。

色以外に今回は季節・臓腑・感情に絞って紹介することにします。


今回は、木に配当されている「青」についてですが、青系統として「紫」「藍」「緑」も含めて説明することにします。


<五行論の木について>

「木」は外や上へと伸びていく、成長していくという特徴があります。

①季節では「春」

植物が芽を出しぐんぐん伸びていく春が配当されています。

②臓腑では「肝胆(肝臓と胆のう)」

肝は滞りを嫌いますので、伸びていく、成長していく木の特徴と似ています。また、春は冬にたまった脂肪が体外へ溶け出すだめ、脂肪を分解する働きをしている肝臓に疲れが出やすく、自律神経との関りも深いため、五月病と言ってストレスから体調が崩れやすくなります。

③色では「青」

肝胆の不調は皮膚に青色として表れてきます。

④感情では「怒」

怒ると額に青筋が立ったりすることから青色との関係もわかります。また、たより23に書きましたが、過度な怒りは肝臓を傷めます。


<紫についてのイメージ>

藤、菖蒲、紫陽花、茄子、ぶどう、ブルーベリー、大人、高貴、個性的、妖艶など

<藍についてのイメージ>

藍染め、制服、夜空、深海、威厳、保守的など

<青についてのイメージ>

空、海、涼しい、冷たい、静か、孤独、爽やか、憂鬱など

<緑についてイメージ>

山、森林、植物、若さ、未熟、平和、緑茶など


※補足情報

ほうれん草や小松菜などの緑色の葉野菜のことを青菜と言ったり、信号の色が緑色なのに青信号と言ったりしますが、日本では、青色を縹(はなだ)、緑色を青と呼んでいました。


<食べ物に関する色の使い方>

肝胆が不調だと、怒りっぽくなったりイライラしたり、逆にストレスに弱く鬱になったりします。また、春は冬にたまった脂肪が体外へ溶け出すため、脂肪を分解する働きをしている肝臓に疲れが出やすくなります。

そんな時には、肝胆と波動共鳴する青を利用しましょう。


青(緑)色食品には、緑の野菜、海藻、野草,、青魚、緑茶などがあります。

緑色の野菜は多いので食材の記載は省略します。


紫色食品は、紫芋、茄子、紫キャベツ、紫玉ねぎ、ぶどう、ブルーベリーなど

マクロビオティックでは、紫は陰性が強い色とみます。食材によっては体を冷やす作用が強くなりますので、お漬物にしたり、加熱したり、干したりして陽性化して食べる工夫をします。


そして、肝胆が弱っている時に補助してくれるのは腎膀胱の黒色食品です。(相生関係:黒→青)

逆に、肝胆の行き過ぎを抑えるのは肺大腸の白色食品です。(相克関係:白→青)

※青(緑)色食品として青魚を含めましたが、脂が多いので焼き魚に白色食品である大根おろしを付け合わせているのは相性がいい組み合わせです。


【おすすめの組み合わせ食材】

黒色食品…黒米、そば、黒豆、黒砂糖、蒟蒻、黒胡麻、ごぼう、黒木耳、昆布、ひじき、醤油など

白色食品…里芋、自然薯、葛、豆腐、蕪、白ネギ、白木耳、大根、蕪、玉ねぎ、冬瓜、にんにく、らっきょう、蓮根、ゆり根、梨、塩など


<食べ物以外に関する色の使い方>

青色は、涼しい、冷たいというようなイメージがあるかと思いますが、寒色系は心理的に3℃も低く感じるそうです。そして、実際に体温や血圧を下げる作用もあります。寒がりや低血圧の方は衣服やインテリアにたくさん使うことは避けましょう。

逆に暑がりや高血圧の方、夏場、日の当たる暑い部屋などは青色を使うと体温や血圧を下げたり、気持ちを落ち着かせることができます。


青というと水を連想できると思いますが、イライラしたりモヤモヤした感情を水に流してさっぱりするという方法もいいと思います。日本はお風呂の文化が発達していますが、湯船につかった時に、体の疲れとともに心の疲れもさっぱり洗い流してしまいましょう。


また、青はまばたきを減少させる効果があります。交感神経が優位になって夜眠れない時や不眠症の方は、パジャマや寝具に青色を取り入れたり、寝る前に青色の絵、写真、雑貨などを見るのもいいでしょう。


そして、寒色系は時間を短く感じさせるという特徴もありますので、部屋の内装などに上手に利用しましょう。


一番良いのは自然界の色です。青い空や広い海といった広がりのある空間を見て心を解放させましょう。


紫色は、精神性を高めてくれる色です。青と同じく鎮静効果がありますが、より直観力を高めるために利用したい色です。


藍色は、夜空や深い海の色で、知性を感じさせる色です。制服やスーツの色によく使われていますが、周りの環境に溶け込むように心を落ち着かせてくれるでしょう。


緑色は、種の起源によると、「動物の生命がわれわれの惑星で進化する以前に、緑色はすべての植物のこの世における唯一の色であった。」とされています。生命の根源とも言える緑は、青ほど冷やす作用がないのでバランスがよく、使いやすい色だと思います。

目にもよい色ですので、よく目線がいく位置に緑色のものを置いたり、植物を置いたりするとよいでしょう。そして、インドの医師ガアディアリは「緑色は名医である」と言っています。森林浴が健康にいいことからもわかるように、生命力を向上させる色になります。緑の自然の中を散歩したり、農作業や園芸など植物と触れ合うと、肝胆が滞りなく心地よく働いてくれるでしょう。


どの色もプラス面、マイナス面があります。

青色は世界で愛されている色ですが、孤独、憂鬱、保守的な面が出過ぎる場合もあります。

青色の行き過ぎを抑える色が白色ですので、衣服やインテリアでも青色に少し白色を組み合わせるとよいでしょう。

紺色のスーツに白いブラウス、白色の花瓶に緑の植物、白色の皿に緑の野菜などきれいですね。

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